【ダイバーシティ ケーススタディ】vol.3 色覚障碍のあるお客様

百貨店のバッグ売り場

中田さんは、百貨店のバッグ売り場を担当しています。ある日、一人の男性が、お母様の誕生日プレゼントに、ハンドバッグを探しにいらっしゃいました。お客さまが、何がいいのかさっぱりわからないとのことで、売れ筋の赤と緑のハンドバッグをご提案しました。
「これ、何が違うの?」 怪訝な顔でおっしゃいます。
「こちらは今年流行の色です。また、普段黒いバッグが多いようでしたら、たまには華やかな色のほうがいいのではないでしょうか。」
「いや、そんなことわからないよ。じゃ、こっちでいいや。」
男性は、赤のバッグを指差しました。展示品ではない新しいものを取りにいき、戻ってくると、男性は緑のバッグをレジに持ってきていました。
「あら? そちらになさいますか?」
「はい、あ、いいえ、今持ってきたのでいいです。」
本当にどうでもいいんだなぁと、少しあきれながらラッピングしました。

※イラストはダイバーシティ・アテンダント検定公式テキストより

ホントのきもち・・・

『店員さん、バッグ2つ持っているけど、どこが違うんだ? 赤いバッグ? そうか、きっと色が違うんだろうな。じゃ、きっともう一つは緑だ。赤と緑は見分けられないんだよ。えっと、こっちが流行ってると言ってたな。流行のほうにしよう。母さん、はやり物好きだからきっと喜んでくれるはず。え、展示品? 店員さん、新しいバッグを取りに行ったけど・・。バッグ売り場に男が一人で立っているのも恥ずかしいもんだなぁ。
レジのほうに、バッグを持って行って待とう。

戻ってきた! え? 別に変えるつもりはないけど・・・。しまった、緑を持ってきちゃったのかな?
いえ、今持ってきたのでお願いします(汗)』


解説

「こちら、そちら」と言わずに、「赤、緑」としっかりと色の名前を伝えれば、これほど混乱せずに済んだのではないでしょうか?

色の見え方は人それぞれです。日本人の男性は、5%(20人に1人)が色の見え方に特性があります。特に「黒と赤が見分けられない」「赤と緑が見分けられない」場合が多いのです。また一般的には、男性よりも女性のほうが色を細かく判断したり、若い人よりも高齢の人のほうが色がくすんで赤茶けて見えたりなどの傾向が強くなります。日本人と外国人でも、色の捉え方やイメージが違います。
「もしかして、自分とは色の見え方が違うのではないか?」
この気づきから始めましょう。
すると応対の言葉が、そして対応が変わってきます。