【ダイバーシティ ケーススタディ】vol.2 不便さに違いがあるお客様

スーパーマーケット

杖を持った男性のお客さまが、片手にカゴを持って買い物をしていました。「こちらをご利用ください」とカートをお勧めしたところ、「そんなの使わないよ」と断られてしまいました。「それでは、カゴをお持ちいたしましょうか?」と申し出ると、「しつこいなぁ」と、プイッと顔をそらしたのです。

そのお客さまが杖をつく手を時々休めて、足をヨロヨロさせながら、商品をカゴに入れる後ろ姿を見守りました。

※ダイバーシティ・アテンダント検定公式テキスト109ページより
※イラストレーター 北川カズナ

ホントのきもち・・・

『この前、初めてカートを使ったのだけど、便利でたくさん買いすぎて、帰り道で荷物が重くて動けなくなってしまった。だから、カートはもう使わない。
カゴで重さを感じながら、持てる分だけ買って帰るんだ。さっき店員が「カゴを持つ」って言ってくれたけど、それじゃ重さがわからないじゃないか。……本当は杖をいちいち離して品物を取らなくてもいいように、一緒に回って取るのを手伝ってくれると嬉しいけど、そんな時間がかかること、仕事中に申し訳なくて言えないよ。』

※ダイバーシティ・アテンダント検定公式テキスト132ページより


解説

よかれと思ったサポート、ありがた迷惑なことが多いものです。こうなる原因は「決めつけサポート」。

高齢者にはこうすれば大丈夫、車いすの人にはこうするべき、などと、お客さまの様子をみて、自分の経験(往々にして少ない)から、自分が決めたサポート方法を押し付けてしまっていることです。
不便さがある人が求めるサポートは、一人ひとり違います。
「お手伝いしましょうか?」とまず声をかけ、お願いしますと言われたら、「いかがいたしましょうか?」と相手に聞いてみましょう。断られることもあるかもしれません。その場合は、ただ見守るのも、立派なサポートです。